🔴カウンセリングについて


■カウンセリングが必要な理由


 

🔵あなたはカウンセリングにどんな印象をもっているでしょうか。

 

・「話を聞いてもらうだけで治るなら苦労しない」

 

・「その時は気分もスッキリするけれど具体的な治し方を教えてもらえないので、意味があるのだろうか」

 

・「怒られそうで怖い」

 

・「話すことに苦手意識があるので、恥ずかしい」

 

・「料金が高い!」

 

こうした事情はもっともです。ちゃんと説明していない私達にも責任があります。

 

いっぽうで日本はカウンセリングに対しては後進国です。院内カウンセリングを併用している病院もありますが、カウンセリングへの抵抗感や、日本人独特の「恥」の概念から、カウンセリングを受診する人は少ないのが現状です。

 

また院内カウンセリングで使われるスキルは認知行動療法など、古典的な方法を取るところがまだ多く、アップデートが進んでいません。

 

そうなると慢性化した人は、自己流で治していこうとする人が大半となりますが、ほとんどの人が、前述したような「好ましくないものは排除」するといった「間違った発想」をしてしまい、悪化、慢性化させてしまいます。

 

自己流でまず頼るのが、ネットからの「情報」でしょう。しかし、これはパニック障害を悪化させる要因の一つでもあります。数ある方法から何が正しいのか分かる人は多くはありません。パニック障害の病態を知らずに、単なるその場しのぎの方法論を独学で重ねても、前途は多難です。

 

またSNSなどで同じ悩みを抱えた人のコミュニティーに入っても、さまざまな情報が飛び交い、他人の回復状況に振り回されたり、心無い言葉に傷付いたり、傷の舐めあいに終始するだけで、これも前に進んでいかないどころか病気を悪化させる要因の一つです。

 

パニック障害は、急なパニック発作症状というストレスによって、状況に対する認知が脳の中で混乱してしまうのです。普通は、その混乱は時間の経過でうまく処理されて鎮まってくるものなのですが、それができないでそのまま冷却保存のようになってしまっているのです。

 

そうなると事実と冷静な解釈ができずに学習してしまった間違った思い込みが、脳内にしまい込まれてしまいます。得られる情報が正しい情報であると、どうしたら分かりますか?その情報が間違っていたら?

 

情報を頼りに独学で行う危険性はここにあるのです。ですから、カウンセリングという環境が必要となるのです。カウンセラーによって第三者に見守られながら、回復への道を歩いたほうが安全、的確なのです。

 


■カウンセリングの内容


 

私はかつてパニック障害を経験し、それに伴い乗り物恐怖、会食恐怖、嘔吐恐怖症などを併発し、10年以上苦しみました。その間、試行錯誤を繰り返しつつ、自力で治しきりました。完全克服して20年ほど経過(2020年現在)した現在も再発はありません。

 

自分で取り入れた方法で、最後まで残ったもの、そして決め手だったものが曝露療法でした。さんざん抵抗感があったこの方法が私を最終的に導いたのは皮肉なものです。しかし、今思うにこの方法があったからこそ完全完治に至ったと今でも思っています。

 

しかしながら、当時病院にもかからず、薬すら飲まずに治すには大変な苦労があり、曝露療法も実践に移すまでにも時間がかかり、無理解から行きつ戻りつつで大変でした。「何かが足りない…」そう思いながらの自己流…何とか完治に至りはしましたが、悪化させる危険性と紙一重だったでしょう。

 

そこで学んだ曝露療法のコツを、精神論に偏らずに、他の手法とあわせて安全に進めていく具体的な方法を、カウンセリングではお話しています。

 

パニック障害を治療していく目的は、出来上がってしまった、間違った記憶や感情の再処理を通して、脳の混乱をフラットに鎮めていき、正しい認知を再度学習させていくことにあります。その手法として「曝露療法」は最も理にかなった近い位置にあります。

 

この手法を分かりやすく説明すると、苦手になってしまった状況に逃げすに、そこに飛び込んで行く方法です。近年この方法は「悪化させる方法」であると言われて敬遠されているようです。しかしながら、パニック障害や不安、恐怖症の病態を理解していれば、この方法なくして、パニック障害は治っていかないことは明白です。これは「算数の九九」のようなものです。

 

なぜ曝露療法で悪化してしまうのでしょうか。考えられるシンプルは理由は、「第三者からのフォローアップが無いから」です。曝露療法は基本的に一人では実施できません。苦手な状況に初めから一人で自分を追い込める人などはいません。ソレができていたら治っているわけですから。

 

曝露療法で大切なのは、ある一定期間、その治療過程であらわれる症状の波や感情の起伏に「第三者がフォローアップ」することなのです。ただ闇雲に根性でやりきる方法ではありません。ここは自己流でやっている人のほとんどが誤解しているところです。

 

フォローアップによって、自分のブレや間違いを修正して成立する方法なのです。カウンセリングはその意味でとても大切な位置にあります。

 

しかしながら曝露療法も万能ではありません。その治療過程で訪れる症状の波や感情の起伏をどのようにして受け容れていくのか(排除していくことではないことに注目して下さい)がフォローアップの目的でもあり、その手段として他のセラピーを取り入れます。もちろんこの手法は曝露療法と親和性があるものを取り入れないと意味がありません。

 

🔵その手法として私のカウンセリングでは、下記の方法を取り入れています。これらを適宜取り入れつつ、曝露療法を進めてもらいます。どの方法も曝露療法の弱点を補うものであり、パニック障害、不安、恐怖症の治療に大変効果の高い方法です。

 

 

・クレアセラピー(「不安のメカニズム」を使用した読書療法)

 

・ACT(新世代の認知行動療法。言葉(思考)に振り回される自分を観察する方法)

 

・EFT(身体のツボをタッピングして、即効的に不安や恐怖心を緩和させていく方法)

 

・セドナメソッド(感情にフォーカスして、自分を取り乱す感情を手放す方法)

 

・マインドフルネス(過去や未来にとらわれた自分を、「今ここ」に取り戻す方法)

 

 

これら手法は実際に私が自分のパニック障害を克服する時に使った手法ではありません。ただ当時このような手法があれば、曝露療法の大変な部分をフォローできたであろうことは想像できます。

 

私は曝露療法を「行動練習」と呼んでいます。

パニック障害など、不安、恐怖症は行動の修正、書き換え作業が基本です。間違えて学んでしまった脳の再学習は知識の収集だけではなく、実際に不快な行動と、気分、身体反応に向き合いながら書き換えていく必要があります。 

 

カウンセリングでは、お話してきたことを基本として、あなたの置かれた状況に応じてオーダーメードして行動練習を組んでいきます。また他の手法も適宜入れつつ、安全に継続していけるよう進めていきます。

 

毎回、質問の時間はもうけます。この質問回答はとても大切な時間です。あなたの進行状況も分かります。もちろん同じ質問を何度してもらってもいいのです。そのたびに理解は深まってくるでしょう。

 

カウンセリングの目安は、1ヶ月に1回から2回ほどが理想です。焦らずじっくり、しかし着々確実、具体的に取り組むことができるよう、アドバイスさせていただきます。