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Q54:パニック障害の回復を実感した時に陥る罠

Kさんからの質問

先生にアドバイスいただいたように、この敏感な時期にこそ、浮かんで通る、時間に任せる…を慌てながらも実践しましたが、仕事、子育て、家事、行事、いろんなことが重なって、1日に何度も大きな発作を起こすようになりました。
 
そして、その対応がとても難しくなり、子供をびっくりさせるほど、あまりの恐怖、狂いそう感じになり、叫んだりするようになってしまいました。
 
なので、親と夫と相談し、先生のアドバイスも実践しながら、もう一つの選択をしました。
それは、一時的に薬を使うこと。
この大発作は経験したことがないほどでしたので、母が急遽、高速で自宅に来てくれました。
 
そして、母と月曜日に病院へ。
すごく抵抗がありました。緊張しました。薬を飲む選択はなかったので…。
でも、このままでは子供が可哀想で。
 
そして待ち合い室でも大発作。
外に出ても、何しても、恐怖、狂いそうな感じ、絶望感、窒息感。外にも関わらず叫んでしまいました。
 
病院の医者、スタッフの態度は、発作中の私には、とても辛いものでした。
 
今、まさに大発作が目の前で起きているのに、医者が言ったことは、「何が怖いの?」でした。
 
先生のカウンセリングのことも話しました。
「でもこれは酷いから今は薬を使いましょう」と。
 
依存したくないこと、増やしたくないことは伝え、抗うつ剤、抗不安薬は処方されましたが、結局、まだ抗不安薬を2回しか飲んでいません。
 
でも病院後もかなり不安定で、他の心配事も重なり、発作が何度も来たため、2回飲んでしまいました…
 
やり過ごせてた自分が嘘のようです。
敏感な時期で色々重なった結果、さらに敏感になって、恐怖が増してたのか…
正直よく分からなくなっちゃいました。
 
でもあれほどのものが来ちゃうと子育てがままならないし、私自身も辛いので、どうしてもな時のみ頓服を使おうかと思っています。
 
正直、医者との相性も最高に悪いので、悩むところです。自分がこんな風になるとは思っていませんでした。
 
こんな大きな発作はあるんでしょうか?
全く治まらず、恐怖でいっぱいになり、おかしくなる感じ…
先生とカウンセリングしたばかりなのに、こんな報告が苦しいです。


回答


今回の一件、原因を捜し出せば、書かれているような忙しい毎日の状況で、ストレスが重なり、起きたと考える事が妥当でしょう。しかし私からみると正直、半々といったところです。
 
なぜならば、パニック発作というのは回復間際であっても、大きなものが起きる事があるからです。そして時に形、程度すら今までとは違った形で現れることも珍しくはありません。それがパニック障害なのです。まずは病気の性質上、今回の一件は、起きる可能性のある事が起きたということを理解して下さい。悪化、後退と考える必要はありません。
 
一般に、特に今まで不快な症状に向きあわずに、避けてきた年月が長ければ、余計に症状に向き合う方法なわけですから悪化した感を感じるもの。しかし、今までそれを目隠ししてきただけなので、それはずっとそこにあったのです。
 
原因と思わしき事が見つかれば、人はそうならないための方法を考えます。1つは排除、回避をしてしまうという対応。代替案があれば、それも良いのかもしれませんが、事は乗り切れても生活の質は低下し、パニック障害も快方には向かいません。
 
もう1つは、工夫です。それは考え方の工夫、行動の工夫です。日常の雑多な事は義務としてやらなくてはならない事が多いので、一番の対処は工夫によるところが大きいでしょう。これは回避行動ではなく、前向きな建設的な対応です。
 
今回の経過は症状だけではなく、自分のありように、とてもがっかり、やっちゃった感があるかと思います。この先の不安と恐怖も今までにない気持ちかもしれません。
 
ここはどうか自己嫌悪に陥ることなく、しばらく浮かんで通り、時間の経過にまかせ、日々のやりくりを工夫して心身の疲労感のリフレッシュを心がけて下さい。
 
今回の一件は、私にもそうした事態は何度かありました。その時の私も失望感、無力感で一杯になりました。今までの方法を疑い、他の方法を模索しつつも、どうもしっくりこない。そのことだけを考え続けながら、日々の雑多な事をこなしていました。まさに色なしのグレーな世界でしばらく生活をしていました。
 
皆さん、回復の過程において、このような思わぬ事態に陥る体験を何度かしているようです。辛い時間の流れではありますが、やがて症状は落ち着いてきますから、今は頑張り過ぎず、少し負荷を軽くして行動練習などをして下さい。あまり厳しい目で自分を見ないように。
 
さて薬の件ですが、どうしても過去のひどい体験や、情報、減薬が進んできた人にとっては、後戻りしたくないとの思いも強く、こうした事態でもなお薬を拒む人は少なくありません。
 
しかしながら、こうした事態だからこそ乗り切るために薬との併用で、ことを成していくことも大切です。そのためにも薬の相性、先生との相性はとても大切です。人を見ずしてパソコンの画面の打ち込みに懸命な先生もいます。そんなの論外です。
 
薬は先生の経験と、データを元に処方をしていきます。バラツキもありますので、なかなか薬の相性があってくるには時間もかかります。なので先生との相性、話を聞いてくれる先生の存在は重要です。そのような先生が見つかればいいのですが…
 
薬を飲む事をいけない事だとは思わないで下さいね。時に助けてもらう時期もあるのがむしろ普通です。自転車の補助輪と同じで自分の力だけで走れるようになるまでは必要な時期もあるのですから。
 
自分のためだけじゃない、家族のため、子供のためにも早く、この辛さをどうにかしないと!と思う人はとても多いです。日頃の生活をワンオペでこなし、そしてパニック障害とも向き合わなきゃと自分にプレッシャーをかけているわけですから、心の余裕などの隙間もできないのかもしれません。
 
薬は、そんな心の負担、万が一の発作症状に出くわしたとしても、そんな状況の「あたり」を和らげてくれます。
 
なので薬については、前向きな検討をし、薬から後押しをしてもらいながら、行動練習を行っていくのも策の1つと考えます。
 
またカウンセリングを受けて下さい。
細いことも含め、お話をお聞かせください。