Q88:「やっぱり怖いものは怖い!」をどうにかしようとしないこと

さいさんからの質問

 

この間はカウンセリングありがとうございました。あれから不安のメカニズムや、講義動画、ブログなどで勉強させて頂いています。

 

症状に対する対処の仕方も少しずつ理解できるようにはなってきたので、これから練習を続けていきたいと思います。

 

私は、パニック障害になってから地震が怖いと思うようになりました。大きな地震を経験したことがある訳ではないのですが、特に夜になると地震が来るんじゃないかと思って、いても立ってもいられなくなることがあります。

 

他の人だったらどう考えるだろうと考えてみて、少し気が楽になることもありましたが、やはり怖いものは怖いです。

 

以前は特に怖くなかったので思考がおかしいのはわかっているのですが、どうしたらいいのかわかりません。

 

 

回答

 

 

その恐怖感はどこからやってきたのか。きっかけになったのは、過去のある体験かもしれません。しかし、その出来事は過去のことです。

 

そこで根付いてしまった思い込み(受け止め方)が日々の同じような出来事を体験した時に強化され、すっかりイコールで結ばれてしまった状態です。

 

もちろん、自分の思考からソレはやってきただけであることぐらいは、今のあなたなら理解してきているでしょう。

 

「〜なんじゃないか」は思考からやってくる予期不安の典型的な決めセリフです。

 

わかっていても怖いのは、理解と感情は別物だからです。理解していても、ソレが感情にまで波及するまでは「体験」というものがプラスされていないと変化しません。

 

「体験」とは何なのか。

それは「あるがまま」を受け取り、浮かんで通り、時間の経過に任せることです。

 

わかっていても怖いから、どうにかしたい!

 

ではなく。

 

怖くても、怖い状態を良し悪しでジャッジしないで、そんな怖さを感じている自分を「あるがまま」に受け止め、そのままにして今すべきことに関心を「戻して」ください。

 

この方法は怖さを無くす方法ではなく、怖さをどうにかしようとするのを手放す方法です。

 

人間ですから、何か問題が起これば、原因を探り、どうにかしようとするわけです。その習慣、習性は中々変えがたいところ。怖いものは怖いのが当たり前なものも、地震だけではない、他のこともあるでしょう。備えは怖れから生まれるのですから、ある程度の怖れは必要なのです。

 

しかしながら、パニック障害など心の病気は、自然なことなのに、「何かを変えなければならない」という懸命な対応によって、むしろ悪化していく病態をもっています。

 

ですから怖さを無くそうとするのではなく、怖さを感じながらも日々の生活、今していることに関心を「戻す」という「体験」を通していくことが大事です。

 

その結果として「わかっているんだけど、怖い」という気持ちへの執着が薄れ、やがて気付けば、そんな怖さを感じていることに気付いても、それらはそれらとして横にズラシ、とりあえず今なすべきことに集中できている自分が出来上がっていきます。

 

それではどのようにしていくべきなのか。

まず、どうにかしようとするのは、自然です。これは前提としてのありかたです。そして、ここで実況中継法を入れていくのです。(下はあくまで例文です)

 

「私は今、この恐怖感をどうにかしようと必死になっているだけなんだね。そんな自分に気が付いています」

 

「私は今、この恐怖感をなくして、地震に向き合いたいだけなんだね」

 

感じてしまうこと、思ってしまうことの中身に良し悪しのジャッジをしてはいけません。ここが大事なんです。

 

そんな今の状態である。ソレを体験している今の私。としてだけを見ます(ここは理解しにくいところ。何度も読み直して下さい。わからないことをジャッジしないでください)

 

というように、生じてしまう恐怖感はあっても仕方がないことを受け容れ、しかし、ここであえて、どうにかしようとしないことが大事です。

 

大事なのは「今ここ」です。

 

またカウンセリングを受けてみて下さい。

理解不十分なところがあるようです。体験を通して理解を深めてくださいね。