Q108:パキシルなどの減薬の注意点

ORIONさんからの質問

私は不安障害と診断されて20年になります。

薬はパキシルとリボトリール 今断薬に向けてパキシルを3錠だったのを1錠の半分にしました。勿論 医師の指導により段階を経て減らしています。


気になっているのは医師が断薬に際し脳のセロトニンを補っているので止めてセロトニンが減ると、認知症になりやすくなる!と言われたことです。

それが怖くてなかなか1錠から減らせませんでした。どうなのでしょうか?56歳です。減らして特別変わありません。宜しければご意見伺いたいです。


回答


言われた事が事実ならば、そんなことがわかっていながら、なぜ長期にわたって、それほどの量を与えていたのか。少々疑問ではありますが、カウンセラーの立場でお話をします。

確かにパキシルなどの減薬は簡単ではなく、減薬による認知能力の低下が起きることがあります。それはパキシルに限りません。

デパスであろうと、ジェイゾロフトであろうと、あらゆる精神薬の副作用は認知能力の低下です。 

「緊張してるから、ボンヤリさせよう」、そんな単純な理屈です。セロトニン云々の理論なんて後付けに過ぎません。そうした効果?だか、副作用が認知症と似たような状態であるために、そのようにお話をしたのかもしれませんね。

また一方で最近のイギリスでの研究論文では、こうした薬剤の長期にわたる連用が、認知症に繋がりやすいという論文も出ており、しかしながら、この見解には賛否両論であり、決めつけるのは時期尚早とのことです。 

まだまだ精神薬には謎を抱えながらの処方なのです。どちらにせよ、長期にわたるパキシルなどの薬の減薬には年単位での減薬が必要です。いずれかの段階で一時的にせよ、極度の不安状態に陥ったり、認知能力の低下から、睡眠リズムが崩れたり、多少なりとも日常の生活に注意が必要となります。

クルマ等の運転は特に気を付けないといけません。最近の老人の自動車事故の例でもわかりますように、あれは安全な道路状況では大丈夫でも、様々な情報が行き交い、注意を払う必要が出てくる、混雑した道路では、認知能力の低下が判断力を鈍らせ、事故を起こした典型的な例です。

精神薬の副作用は、こうした事態になりかねない危険をはらんでいますから、急激な減薬でも危険なのは言うまでもありません。

安易な取り組みによる、途中挫折は避けるためにも、減薬の最中に起こる心身のアンバランスを、フォローしてくれるお医者さん、またカウンセラーがいれば最良、安心です。

お医者さんの処方を厳格に守ることは言うまでもありませんが、それ以外に、注意すべきは他人との比較です。人それぞれに処方量も異なりますし、体質、環境によって比較することはできません。

自分勝手な予測で勝手な減薬はかえって危険です。ネットで同じような人の話を参考にして勝手に減薬に取り組み、悪化させてる人が何人も私の元へ相談にこられます。

焦らず、これからもお医者さんと連携を取りながら、減薬をしていきましょう。