パニック障害の回復とは

 

よくクライアントさんに、「回復した状態はどんな状態の事をいうのですか?」と聞かれることがあります。

 

パニック障害や、嘔吐恐怖症などが治るということは、記憶が無くなるわけではありません。

 

もちろん、あの時の記憶は時間の経過と共に薄らいできます。

 

しかし、思い出そうとすれば思い出す事のできる記憶は残ります。そして今の私にもそれはあります。しかし、その記憶は、今の私の仕事には役に立っている、無くてはならない記憶といってもいい。

 

回復とは記憶に関していえば、当時のような辛い感情を伴わない状態になっていることです。

 

 

 

🔴私のいまわしい記憶

 

今も残る記憶を一部ですが、あげてみます。当然ですがその記憶を思い起こしたところで、何も当時の感情が湧いてくることはありません。

  

◉父親が二日酔いで、早朝からトイレに駆け込んで、えずいている、あの声。

 

◉中学生のときのバス旅行で、乗り物酔いをして、思いっきり座席に吐いてしまい、友達から苦い顔をされたときの、彼の目つき。

 

◉はじめてパニック障害になったときの、電車の車内で、戸惑いながらも窓にへばりついていたときの情景。

 

◉床屋に行った時、散髪中に息苦しくなり全身硬直しながら散髪を受けていたこと。

 

◉電車に何とか乗るも、途中駅でパニック発作になり、とても怖くて電車に乗りなおす事ができなくなって、家まで20キロ近い距離を歩いてかえってきたこと。

 

◉外食をしているとき、小さくカットしたサイコロステーキ。口に入れた途端、喉元が閉まって慌ててトイレに行って吐き出したときのこと。

 

◉毎朝、目が覚めると全身が、なにか膜に覆われたような不快な感覚と、ほてり感。

 

◉大学の講義で、大きな教室。座席を選べずに周囲を取り囲まれた感覚に、パニック発作となって慌てて教室をひとり出ていったときのこと。

 

◉駅のホームを歩いていて、自分が突然電車に飛び込むんじゃないかという強迫観念に襲われ、それからというもの、ホームの端を歩けなくなったこと。

 

◉スーパーのレジ待ちで、立ちくらみを感じてしまい怖くなり、買い物カゴを置いて何も買わずに帰ってきたときの、あの悔しさ。

 

などなど…

 

 

🔴記憶であり、それは今ではない

  

こうして書いていても、こうした体験をカウンセリングの時に、一例としてお話させてもらう時にも、今はまったくそのときの不快な感覚、感情は一切ありません。


それは単なる「記憶の一部」に取って代わったからです。その状態にするのが、回復ということです。そういった状態になっていると、似たような場面になっても、何ら反応することなく普通でいられるようになります。

 

 

🔴「事実と解釈」にしっかり気付きを入れていく

 

そのためにもやることがあります。

それはずっとブログ等でもお話してきたこと。

 

「気付き」です。

 

何に気付くのか。

 

◉今、湧いているこの不安や恐怖が、目の前の事象に対してというより、その事象に対して頭の中の「過去の記憶が再生されている」だけだということ。

 

◉そしてその過去の記憶も、もはや捏造され当時の体を成しているわけではなく、脚色されている記憶なのだということ。

 

◉だからこそ、目の前の事象に必要以上に気持ちが反応しているのだということ。

 

◉事実というより、自分の解釈が自らを混乱に陥れているのだということ。

 

自分の不安や恐怖の仕組みを知り、そのたびに、こうした論理展開を自分の心のなかでやり取りしていただき、自分に「ツッコミ」を入れましょう。少し難しい説明になりましたが、この部分は重要ですから、今はわからなくても書き写しておいていただき、とらわれが始まったら、これら「気付きの文言」を思い出していただきたいと思います。