Q120:再発は、密かな回避行動と、理解の浅さにある

porinさんからの質問

 

 

5.6年前にカウンセリングを一度受けさせて頂いたものです。

 

こちらのブログを読みながら、行動練習などをして、薬は飲まずとも、お守りとし持ちながらですが、ここ3年くらいはほぼ完治したのでは?というくらい症状もやり過ごすことができ、苦手だった飛行機、新幹線、映画館、まつげパーマなども全てできるようになり、仕事も問題なくすることができました。

 

しかしこのコロナの影響で自粛期間がはじまり、最初のうちは家でできる楽しいことをしようとゲームなどやったり工夫をして過ごしていましたが、2ヶ月ほどずっと家での生活をしていると気分もあがらず、細かい自分の体にばかり目が行きやすくなり、しまいには今まで自分の症状コレクションにはなかった不眠と、心因性の頻尿になってしまいました。

 

新しい不安の2つだからこそより恐怖感が強く、頻尿が特に辛いです。その都度実況中継していますがいつも膀胱に意識がいってしまい、感覚的には3秒に一回意識してるような感覚です。

 

そうなると実況をしているのも辛くなり、同じことを何度も実況しているので、グルグルと頭がパンクしそうになり本当に辛いです。

 

完全に昔に戻った感覚で、しばらく読んでいなかったこちらのブログに戻ってきました。

 

体調の良い時は自分がパニック障害であるということを意識したくないので、できるだけ普通に過ごし、それ関連のことには目をむけていなかったのが逆に良くなかったのかななど色々考えてしまいます。

 

自分が思うには、本当の意味で症状、病気、を受け入れきれてなかったからまた再発したのかなと思いました。薬もいまだに持ち歩かないと不安です。

 

3年間楽に過ごさせてもらってた分、本当の意味での完治に向けて行動するべき時なのですかね…

 

 

 

回答

 

 

 

日常生活もかなり広がり、パニック障害であったことを忘れてしまうぐらい回復を実感されていることは大変喜ばしいことです。

 

ただコロナ自粛中に、何も外側に刺激がなく、自分の内にこもりやすい状況下をキッカケに、いつのまにか、また自分を監視活動に追いやっていた人は、あなた以外に多くいます。

 

人は良くなってくると、心のどこかで「もうこのままでいてくれよ、再発しないでくれよ」とお祈りしていたりするものです。決して受け入れているわけではないからです。

 

その時がきたら、その時の自分が対処することを信じきれていないからです。それは単に必要な練習の数が足りないからです。

 

これは良くなってくる人にありがちな罠です。

少し良くなってくると、本当に直面しなければならない苦手になってしまうものを、日常生活に差し支えないからと避けてしまう傾向があります。

 

油断はしないこと!ではありません。良くなって喜ぶべきことは喜んでいいのですから。

 

また、この時期は、良くなっているがゆえに、何処かで、わずかな発作症状への兆候を探してしまう自分がいることも知っておいて損はないでしょう。

 

それへの対処はとてもシンプルかつ奥深いです。探さないようにしようではなく、探し始めていることに気付いたら手放すことです。

 

なぜ探し始めているのか。

症状を受け入れきれていない事もありますが、誰もが100パーセントの受け入れなどはできません。回復に100パーセントの受け入れはできなくても大丈夫。

 

しかしながら、安全安心欲求、コントロール欲求が監視活動の手を緩められない要因なので、実況中継法としては…

 

「安心していたいのね、そんな自分に気が付いているよ」

 

「万が一のために、コントロールしたい、コントロールできる状態にしておきたいのね、そんな自分に気が付いています」

 

と気付きを入れていくようにしてください。

 

(この根本にある「欲求」への理解は、「セドナメソッド」を勉強してみてもよいでしょう。詳しくはホームページの「おすすめの本」に掲載してありますので、書籍の購入の参考にしてみてください。また当ブログ、YouTubeにおいても「セドナメソッド」については講義していく予定ですから、参考書籍として購入しておいていただくと良いかと思いますよ)

 

パニック発作が改善されていても、心の何処かでは、まだ再発を怖れる自分はいるものです。

そうした密かに今だに心配している「体験からの回避」、そして「お守り」としての薬、この2点は受け入れと、監視活動の邪魔になります。この2点に対するアプローチを練習の課題として、まだしばらく行なっていく必要があるように思います。

 

また先ほどの欲求への気付きが今後の課題となるでしょう。実況中継法による欲求への気付き、セドナメソッドによる欲求への理解と手放しを練習に組み込むと良いでしょう。

 

課題がまだあることに落胆する必要はありません。まだのりしろが有る分、さらなる回復の可能性があるのですからね。

 

しかしながら、ここまでよく粘り強くやってきましたね。あなたの努力、心がけが今日までの自分を生み出してきました。それは自信を持っていいですからね。

 

久しぶりではありますが、再度のカウンセリングをお勧めします。進捗状況のチェック、答え合わせにもカウンセリングは有効ですよ。

今回の事を踏まえ、理解を深めるために練習の再開、継続を淡々としていただき、今後に生かしていかれますよう期待します。