Q136:やっている人が陥る、コントロールの罠

かずさんからの質問

先日カウンセリングを受けさせて頂いた伊藤と申します。

私の主な症状は橋を渡ることなどといった逃げられない場所を苦手としていました。

ですが富樫さんとのカウンセリングや講義動画、ブログなどの教えのお陰で、この今まで苦手としていた橋を渡ることなどに対して予期不安や発作症状がありながらも、何とか渡ることが出来るようになり、耐性がついてきたように感じます。

本当にいつも感謝しております。
ありがとうございます!

ですが、一つ解決するとまた新たな悩みなどが増えてしまい、毎日頭を悩ませているのが現状です。

この新たな悩みというのは、主に強迫観念、不安障害のようなものだと思います。

例えば日常の些細な体調の変化などに、対してすぐに変化を察し、異常な程、恐れを抱いてしまったり
するようなことや、自分が何かおかしくなってしまうのではないかといった、常に不安を抱えているような状態です。

毎日毎日、気分に波があり、非常にストレスや疲れを感じています。

この尽きない悩みに対しても実況中継を行っていますし、悩みのない時も毎日実況中継しています。

この他にも行動練習などを、ほぼ毎日行っています。

私は今後どのようにしていけば宜しいと思いますか?

とにかく毎日悩みが消えては増えて…の繰り返しのような気がします。

お忙しいところ恐縮ですが、ご回答の程宜しくお願い致します。


回答


私がお話してきた、実況中継等を試されてきて、効果に実感されてきている事は、正しい練習の成果かと思います。

行動範囲が広がってきた裏には、その時々の思考の暴走、その結果としての感情に対して、客観視する習慣が身に付いてきた結果です。

症状は大変辛いわけですが、治すには、この症状を消すことを第一とするのではなく、それが起きたときに、どのようにして対応していくのか、向き合い方を身に付けることです。

そしてあなたはそれをやってきました。これからも継続されていきますよう期待します。

さて今回のご質問の内容は珍しいものではありません。

行動範囲も広がってきて、この方法に確信が持てるようになり、そういった症状に対する耐性が身に付いてきたころに、フッと湧いてくる不安ネタです。

症状が良くなってくると、悪化させたくない、戻りたくない(再発させたくない)という気持ちが強くなってきます。

そうなるといつの間にか監視状態に自分を持っていくようになります。

些細な物音に気付くやいなや、銃口をそちらに向けて、撃つ必要のないウサギを撃ってしまうようなもの。

今のあなたはそんな感じです。

ちょっとした変化を敏感にとらえることで、発作症状の芽を摘もうとしているのです。

自分が何の条件が重なってくると発作症状を引き起こしがちになるのかを考えたら、おそらくそれらに特に過敏に反応していたりするのではないでしょうか。

何にしろ監視状態にあることに気付きをいれましょう。

かといってその監視状態を解こうとするのは間違いです。この監視状態が自分の不安を作り出しているのだと自覚することです。

また、こうも言うことができます。
尽きない悩みと表現していますが、実は今の段階は、まだ悩んでおくことで、症状の不意打ちに耐えられるように用心しています。力を抜いておけばいいものの、力を抜いておけないのです。

どちらにせよ、今回の場合、メインの悩みが、橋が渡れるか否かの悩みだったものから、この四六時中ストレスになっている強迫観念にすり替わったように感じるでしょう。

しかし、あくまでメインは橋などの行動範囲の問題です。まだ安定している状態ではなく、力技で何とか渡り切ることができる段階でしょう。

この行動が力技ではなく、すんなり渡きれる感覚、またその先で、何かしらの要件をこなしていく滞在時間を広げていくなかで、自分の不安感への向き合い方に、さらに深みが出てまいります。

そうなってくると、あなたが今回、悩まれている強迫観念の繰り返しが起きなくなってきます。

メインはあくまで行動範囲の拡大。力みなく可能にしていくことです。

それと実況中継もあまり頻繁にやり過ぎないように。実況中継をすることで、常に今を意識しようとするのは結構なのですが、何の目論見でそれを行なっているのか…

となると、やはり少しでも早く予兆に気付くためだったりするのでは? 

予防策としての実況中継は、コントロールするための方法になっているので、受け入れとは違います。ここは皆さん、いつの間にかすり替わってしまうところなので注意して下さいね。罠にハマってますよ。

安全欲求、コントロール欲求が少し強いようです。万が一のためにも、前もって、少しでもどうにかしておきたいという欲求のあらわれですよ。少し注意を緩めましょう。

湧いてくる不安、悩みネタに心休まらずな状態を、あなた自身がどう解釈しているのか、何に結びつけているのか、何に結びついてしまう事を怖れているのか、今一度、考えてください。

コントロール欲求の罠にハマってますよ。

コントロール欲求を認めることができますか?

コントロール欲求を手放せますか?

コントロール欲求を手放しますか?

いつ、手放しますか?

これはセドナメソッドです。近いうちにセドナメソッドの講義も始めますから、実況中継と合わせて取り組んでみて下さいね。