Q162:離人感覚の気持ち悪さ

はなさんからの質問

パニック障害になって2年。育児休暇中に発症して、現在2人目出産し育児中です。

パニックになってから、子供や旦那をみていて、頭では分かっているのですが、あれ?子供だよね?等現実感が乏しくなるような感じが出るようになりました。

2人目を産んだ今は、更にその離人感のような症状が強くなり、自分の人生なのに自分の人生ではないような、将来の希望も持てなくなる時もあります。

育児中のパニック発症もあり、子供の世話をするとき、またパニックを患った自分について考えるときな特に離人感が強くでるように思います。

このような症状とどう付き合って行けばよいでしょうか。アドバイスお願い致します。


回答


「離人感」…耳慣れない言葉ですが、パニック障害になると、こうした感覚を覚える人は少なくありません。

まさしく自分がいない感じ。いるけど、なんか現実感の乏しい感覚…言葉の表現は人によって様々ですが、気持ちの良いものではありません。

私も当時、大きなとらわれには至らなかったものの、自分ともう一つ、服を着たような自分が二つ重なっているような感覚。そして時にそれがズレてくる、枠にハマっていない違和感を感じていたことを覚えています。パニック障害を抱えている中で、決して珍しくない症例です。

さて、この離人感にどう向き合っていくのか。

まず離人感…「感」。
つまり一つの「感覚」であることを確認しましょう。当たり前ではありますが、この先どんどん離れてどこかへいってしまうわけではありません。ただそんな感覚。今にいない感覚に過ぎないということ。

またその感覚から思考が暴走しやすい状態にありますので、湧いてきた思考には真実はありませんので注意してみましょう。

そしてこの離人感というものは、解離症状であり、自分の安全を最低限保証するための、代償作用ととらえてみるとよいでしょう。(もちろん、あまりにひどい感覚であれば、医者には必ず診察を受けてください)

自分にとって荷が重い、気忙しいとき、大切な事態に直面しているときなど、そうした解離症状が出ます。自己防衛のためとも言えるでしょう。

「不快な感覚」ではありますから、不安にもなりますし、どうにかしたくもなるでしょう。

コントロールしようとして戦わないこと。
ここでも気付きが必要です。

しかし気付きは、その離人感にではなく、離人感をもたらした、今目の前で繰り広げられている、出来事、そして受け入れきれない辛さをどうにか必死になってコントロールしようとしている自分に、ジャッジせず同意することです。

「わかっているよ」と自分に同意するということです。

そのためには「こんにちは」や実況中継による「気付いているからね」といった技法をちゃんとやることです。心の中で、ていねいに指差し確認をするつもりでやります。

不安や恐怖は不快な感情ではありますから、どうしても、見て見ぬ振りを人はしてしまいますが、そこをちゃんと見つめないと、その先の良き変化は生まれません。

おっかなびっくりでもいいので、初めはチラ見であってもよく、今あることをちゃんと確認をとってくることが大事です。

そして「離人感」を一つのメッセージと考え、受け止めてみましょう。
目の前の状況下に対して…

「そんなに思いつめないで!」
「ここは助けを求めようよ」
「一人で背負わないでいいんだよ」
「大きくとらえ過ぎなくても大丈夫」 
「ほら、一度大きく溜息つこうよ」

など。

「離人感」そのものを悪者にするのではなく、一歩引いて、自らの「今ここ」を逆に取り戻してくれる気付きを与えてくれる機会が訪れているものとしてみましょう。