Q202:子供の嘔吐恐怖症について

ゆ☆んさんからの質問

いつも丁寧な回答をありがとうございます。
参考になります。また質問させてください。

先日、娘2人がノロウイルスにかかりました。親のわたしは重度の嘔吐恐怖症でありながらもなんとか娘たちの嘔吐の処理や介抱ができました。

わたしが今すごく気がかりなのは、長女5歳のこと。長女は朝方大量に嘔吐し、その際は突然あがってきたものだったので本人も呆然した様子でした。

それから昼間、小児科連れて行った時、気持ち悪い様子で車でずっとソワソワ、モゾモゾ、深呼吸を何度もしたり、アタフタしていました。

まるで、自分を見てるみたいで。小児科につき、中へ入ろうとしたら、恐い。。とボソっと。

それでも頑張って中へ入ったら、吐きそうだけど恐くて我慢していたみたいで、急にアタフタしだして叫びだしパニック状態。

自分を見てるようで涙が出てきました。
恐い、恐い!と言いながら、我慢しきれず思い切り吐いたのです。

吐いたあとはスッキリしたようでケロッとしていましたが、ノロウイルスが治った現在、5日ほど経ちますが、ご飯があまり喉を通らず、たまにウッとなり吐きそう!って思うと恐いらしく、ハァハァ息が荒くなったり泣きそうになってます。

わたしが嘔吐恐怖のため、娘の気持ちが怖さが痛いほど分かりますが、どのように対処していいのかわかりません。

これからどのように接して、不安を取り除き、同じように嘔吐恐怖症が残らないようにすればいいのでしょうか


回答


自分のお子さんが、自分と同じような?と考えただけでも、お辛いですよね。心配もごもっともです。


お子さんの、ある日のノロウィルスの体験は、まさに恐怖症を形成する典型的なルートを辿りました。お子さんに限らず、こうした思いもかけなかった辛い出来事が、大人でも等しく恐怖症というトラウマを作り出す可能性があるのです。

何が起きたのか訳も分からず、自分のコントロールできなかった出来事にショックを受けた状態は脳で

「食べたものは、あのようにコントロールできずに、突然、苦しさを伴って出てくるものなんだ」

と学習してしまいました。

お子さんにとっては「必要のない、あるとは思っていない」出来事でした。

しかし身体自体の反応としては、

「異物であるものが体内に取り込まれたので、緊急に吐き出しにかかっただけ」なのです。

身体にとっては、「自分」にとってまさに「必要」な措置だったのです。

人の解釈と身体の反応にズレが生じたわけですね。

さてお子さんへの対応ですが、基本的にお子さんの状態による「反応」を受け入れてあげることが大切です。

大丈夫だから食べてごらん。
残さず食べるのよ。
何をしてるの!早く食べなさい!

は禁句です。

お子さんの、大丈夫ではない状態を受け止めてあげることが、大切です。本人は賢明にその感覚と心の中で戦っていますので、「待ってあげる」姿勢が大事です。

これはあなた自身が、今試みている症状に対する対応と同じです。これは理解の範疇かと思います。

親心から、少しでも早くそんな思いから解放させてあげたいと思うわけですが、一回一回の食事が娘さんには、以前とは違う場となってしまっているので、少しの間、娘さんの食べるペースは遅くなっているかもしれませんが、それに合わせて、食事の場では、さりげなく一緒にいてあげてください。

食べる時に出てくる反応を、おかしな反応としてとらえてしまっている状態なので、

「うっ!となるのは、身体がね、ねぇ、もう食べても平気なの?と身体があなたに聞いてきてるんだよ」ということを淡々と伝えてあげてください。

そして自らが食べても大丈夫なんだよと、自分の身体に伝えてあげていけば、また食べれるようになるんだよと伝えてあげてください。

また食卓が対面で座っていた場合、横にいてあげることもいいかもしれません。正面にいると、見られている、監視されている感覚に陥りやすく、かえって緊張感を呼び出します。

正面にテレビなど置くなどして、テレビを見ながら紛らわせながらも、子供に食事の時間はリラックスした楽しい時間なんだと繰り返し再学習させていくことが大事です。

ここは大人と違い、子供の素直な部分を逆手にとった方法です。テレビを見ながらでも、気の紛らわせであっても食べれた、食べれるんだ!という自信を付けさせるためにもお守り事を使います。

あと食卓がテーブル、イスであるならば、和室もしくは、床に座っての食事姿勢で取ることも、食事がかしこまったものではなく、リラックスして食べると、もっと美味しいんだという感覚を得てもらう方法もあります。家でハイキングをする気分ですね。

それともう一つ、あなたもそうかもしれませんが、料理を個別に分けるのではなく、取り皿形式にして、自分が食べてみたい分だけ、自分で取らせてあげるということで、食が進みやすいかもしれません。「あなたの分」とお皿に盛ってしまうと、食べなきゃならないという切迫感からかえって緊張感から食べれなくなることもあります。ただ、ご飯や味噌汁などは自分の分として与え、おかず等を取り皿というようにしましょう。すべてを取り皿形式にはしないように。

安心や共感を与えることが大人の役目でもあります。食事の場が本来、楽しくリラックスした場であることを体感させてあげることが必要ですよ。