Q229:回避行動は何を生み出すのか

ケンケンさんからの質問


初めまして、私は20歳の頃電車の中で初めてパニック発作を経験しました。当時の記憶は曖昧になっていますが、半年くらいでパニック障害を克服したように思っています。 

今思えば、その後5年おきくらいに不安状態や軽いパニック発作、不眠障害などがあり完治とは言えない状態で、今日を迎えていたのかもしれません。

そして昨年3月頃に、きっかけはコロナ不安もあったのかもしれませんが、大きなパニック発作を経験し、自分的には再発したと思っています。

その後、富樫先生のブログ、YouTube等を参考にさせて頂き、再発すぐの状態からは良くなってきております。仕事もなんとか普通にこなしております。

先生にご相談させて頂きたいことは、私は今、会社でいわゆる中間管理職的な仕事をしているのですが、最近特に上司、部下からのプレッシャーから症状が悪化したり、ついつい仕事上の問題点などを思い悩んでしまい、最近あまりなかった急な不安感や症状の悪化に悩んでいます。

再発後少しずつではありますが、体調が良くなって来たと思っていたのですが、最近の状態は休みの日でも仕事の事を考えてしまう事が多く、またその想像の中身は新たな問題や人間関係の悪化などのことで、結果不安感や症状が出て来てしまい辛いです。

今思えば、私はこの人からの苦情や人に嫌な事を伝える事、人間関係がこじれる事を極端に嫌い、公私ともに日頃の人間関係を極力避けてきた人生だったように思います。

直面する、受け入れる、浮かんで通る、じかんの経過にまかせる、この原則はわかっているつもりです。

今後もこの原則を守りながら、この辛い状況のまま症状の改善を図っていくべきなのか、それとも一旦は今の仕事のポジョンを離れた方が良いのか、今の状況が大きな壁が立ちはだかってしまったように思われます。


回答


問題を起こしたくない。

人間関係でトラブルになりたくない。

その裏には、問題を起こすべきではない、人間関係は円滑であるべきだという強い観念が隠れています。

その観念の反対の事が起きてしまう事は、自分への評価が問われてしまうからでもあるでしょう。

中間管理職となると、たしかに上から下からの突き上げに悩まされる年代かと思います。

役職柄、上にも下にも期待がかけられているだけに、失敗も許されない感覚にもなるでしょう。結果を出す事を常に求められるだけに、何か新しい事に取り組むたびに、身体にも反応が出るほどに構えてしまうのでしょう。

それだけに、変な軋轢を起こしたくないですし、自分の落ち度となることを怖れます。

「他人からの自分への評価」が自分の価値となってはいないでしょうか?

価値は自分で高めるものです。そしてまた価値にこだわる必要も実はありません。価値のない人はいませんから。

ただ、なんか自分はどこか逃げ腰で生きてきた、生きづらさを感じるのであれば、以下のことにトライしてみるとよいでしょう。

仕事に限らず、プライベートの趣味など、「何かこれは俺は好き、できるんだ」といったものはありますか?

何かには取り組むんだけど、いつも三日坊主で続かないんだよね…となるのであれば、どれか一つ決めたら、何かやり通す、やり切る価値というものを、しっかりと体感してみるといいですよ。

さて、あなたがこの辛さから逃れるために、症状のポジションを離れる事は簡単です。

しかし、どうでしょう。おそらく元のポジションには戻れないかもしれませんよね?

自らの評価を自らが下げているように思いますがいかがですか? 

回避すれば、心身ともにラクになることはわかっています。あなたが長年の間でやってきたことです。

しかし、そうした回避癖のおかげで、面倒な事は避ける習慣が身に付いてしまっています。

劣等感だけが肥大化していませんか?

あなたは今回の事を大きな壁と表現されていますが、大きな壁一枚と見るのではなく、小さな壁が点在していると見たほうがハードルが低いのではないでしょうか?

今までもそれはあったのです。しかし、それを未処理のまま、ここまで来ただけで、まだその壁が点在していて、そのうちの一つが今回の出来事です。決して新しい出来事ではないのでは?


参考図書として、次の2冊を強く、強くお勧めします。Amazon等で検索をかけてみて下さい。私のお勧めしている方法と合わせて行っていけば、少しずつ置かれている状況への理解が深まり、仕事も順調に進むかと思いますよ。


・「反応しない練習」

・「これも修行のうち」