Q234: うさぎに銃の引き金を引くな!

のあさんからの質問


こんにちは。

わたしは産後にパニック障害を発症し、今は心療内科へ通い、安定剤を飲みながら1年ほど治療しています。

わたしが今1番悩んでいることが回復への理想の高さです。

どうしても症状がない自分になりたいと思ってしまいます。

例えば朝起きてちょっとでも体のどこかに不快な症状があればパニックになり、すぐにお薬に頼っている状況です。

生きていく上で誰でも体調不良など経験すると思いますが、今のわたしはパニック障害に限らずどんな不調もすぐにパニックと繋げてしまい「あぁまた症状が出てしまった。お薬飲んでしまった。」など落ち込んでしまいます。

富樫さんがおっしゃる直面する、受け入れることが全くできていないなと感じます。

しかし受け入れるということがどうすることなのか何回ブログを読んだりYouTubeを見たりしても自分の中でよく分からないのです。

常に健康で気分が良く毎日の出来事や行事を何の不安もなく過ごしたいです。

常に健康だなんてあり得ないとわかっているのにこの理想の高さ…。

こんなわたしでも回復していけるのでしょうか?お忙しいと思いますがもしよろしければ厳しくご回答していただけると嬉しいです。

そして同じように悩んでる方がいましたら誰かの参考になってもらえれば幸いに思いメールさせて頂きました。


回答


のあさんへ

はじめまして。

いただいたお悩み、かつての私、そしてこの病気になってしまった人のほとんどが、このような悩みを抱えてきているかと思います。

【回復とは症状のない自分…】まさしく!であります。

ただ、これはあくまで結果として「自然とそうなっていたもの」として位置付けておくものです。

私がお話している、日々の行動練習についても目的は、症状や不安が有るか無いかではありません。

それらがあっても

・できる事が増えてきた。

・そのような場面であっても、そこにいられる時間が増えてきた。

・ダメージからの回復が早くなった。

ここを目指しています。
しかしながら、私も含めてやはり、辛いものは辛いわけで、そうはいっても症状があったんじゃ意味ないし…みたいな事を考え始めます。

結果、わかっているけど、やっぱり…の堂々巡り。

症状は誰もが起こしたくありません。起きた時の自分を考えたら到底、起こしたくない気持ちが上回ります。

そうなれば起こさないようにするために、あらゆる手立てを使ってコントロールしようとします。それが今のあなたです。そしてこれを読まれている、その他大勢のあなたの姿です。

どうにかしたい気持ちは人間ですから逃れられません。

ただ見方として…

「なぜ、それほどまでに、私は症状から逃れようと必死なのか」

「なぜ、ちゃんとした状態の自分であらねばと、自分を強いているのだろうか」


繰り返される症状には、あなたがまだ見ていない世界、つまり頭ではなく、ちゃんと体験という形で受け取ろうとしていないから、理解がまだ及ばないのです。

「直面する」「受け入れる」ことが全くできていない以前に、理解が出来ていません。

それも体験不足だからです。いつも前もって体験の回避をしているからです。症状を引き起こさなようにやっている事が、今のあなたの理想と高さとやらを、自ら作り上げているのです。

常に健康で気分よく、何の不安もなく…それが理想であることは、誰もが思うものです。

しかしそれを必死に維持しようとすれば、至らないほころびに目が向くようになるのです。

常に自分の在り方に監視の目が向いてしまって、容易に銃の引き金が引かれてしまう状態に日々置かれています。

それはあなたが「よく相手を見ていない」からです。

症状や不安を敵と見なし、ちょっとでもざわめいたら、銃口を向けられる準備をしています。

敵だと思っていたのに、うさぎに銃をむけて撃つような事を、今までしているのです。

もっと相手をしっかり見ましょう。

症状や不安のない自分を目指していきたいのら、ちゃんと相手に直面しましょう。

撃つ前に、ちゃんと対話をしましょう。

まだあなたにはやるべき事が沢山あります。沢山あるということは、まだまだ回復の余地が多く残されているということです。

今年ももうすぐ年末です。来年に向けて腰据えて、じっくり症状や不安と向き合う試みをして下さいね。